仕事がないときにやっていたこと

駆け出しのフリーランスの不安

幼児と乳児を抱えて3人で生活をしなくてはならない駆け出しのフリーランス特許翻訳者であった私は、次の仕事がないと「どうしよう。どうしよう」と体が震えるほど不安になりました。もし、今、仕事がなくて不安になっている人に参考になったら……と思って当時のことを思い出して書きます。

私は翻訳会社のトライアルという試験に合格でき、翻訳者として登録して、すぐに仕事をいただいたものの、次の仕事の依頼がくるまでに期間が空いてしまうと、とても不安になりました。もともと試験に合格できるとは思っていなかったので、「やっぱり納品した翻訳がよくなかったのだ!!」という気持ちに押し潰されそうになったのです。

客先からのクレーム

そして、最初に少しまとまった(特許明細書)の翻訳を納品した後に、翻訳会社から、納品した翻訳文が良くないとお客さんからクレームが入った、と聞いた時には心臓が止まりそうになりました。客先の人が赤いペンで私の翻訳を直したものが送られてきたのですが、最初のページから真っ赤です。ガクガク震えながらページをめくっていくと、直しが多すぎるということで差し替えられていたページもありました。私は激しく動揺しましたが、心を落ち着かせて、きちんと翻訳会社と客先に謝ってしばらくは勉強しようと決めました。

翻訳会社の担当者にその旨を伝え、客先に一緒に謝りに行きます、と言ったのですが、そこまでしなくてよいとのことでした。謝罪の手紙を書いて私は勉強をすることにしました。具体的には英文で書かれた特許明細書や、技術に関する本をたくさん読んで、日本語と英語の対訳文例集を作ったりしました。

ところがすぐに、その翻訳会社から仕事の依頼があったのです。私は戸惑ってお断りをして、「しばらく勉強してから仕事をさせてください」と頼んだのですが、驚いたことに、同じ客先からの依頼で、ぜひ私にお願いしたいと言うことです。

訳が分からず理由を尋ねると、赤いペンで私の翻訳を直した人は、どんなに優秀な翻訳者の翻訳にもそうするとのこと。別の人は私の翻訳はすばらしい!と評価してくださり、ぜひお願いします、ということでした。恐る恐る仕事をさせてもらいましたが、特に問題がなかったようで、その後も仕事をいただきました。

けれどもそんな強烈な体験をしてしまうと、仕事が途絶えるととても不安になるようになりました。
「この前の翻訳がよくなかったのかも」
「もう仕事がこないのかも」
と、どんどん悪い方に考えてしまいます。

そこで私は、不安を感じるヒマがないほど動きました。実力を高めようと勉強をしたり、他の翻訳会社の試験を受けて仕事につながる活動をしたりしたのです。

その他の「仕事がないときの不安の対処法」としては、報酬が低くても継続して依頼がくる仕事を少しだけ引き受けました。具体的には、週に5件やって1万円というような仕事の契約をしました。それによって「仕事がない」という期間がなくなり、不安になる時間がなくなりました。この仕事はもっと報酬のいい仕事が安定して継続してくるまで続けました。お金のためというよりも精神的安定のため、とてもありがたく思いました。

つまり

1.実力を高める(勉強する)

2.単価の低い仕事を少しだけでも継続して引き受けて精神的な安定を図る

ということをしました。私の場合は「10年で一流の翻訳者と言われるレベルになる」ことを目指して、実力を高めるようなことを自分なりにしていました。

つらかった時期を思い出すと泣きそうになりますが、正しい努力は報われるかと思います。応援しています!

ABOUTこの記事をかいた人

著者。特許翻訳者。ユダヤ人富豪の義父に学び、自らも7億円の不動産資産を築いた不動産投資家という顔も持つ。 東京都出身。外資系メーカー、シティバンク勤務を経て、イスラエル国籍のユダヤ人と結婚。子ども二人に恵まれるも離婚。在宅で翻訳の仕事をフリーランスとしてしながら、シングルマザーとして子ども達を育てた。東欧からの移民の子で、14歳から働き、資産ゼロから財産を築いたユダヤ人の義父からは不動産投資を学び、投資物件(7億円)などの資産を築いた。著書に『ユダヤ人と結婚して20年後にわかった金銀銅の法則50』『ユダヤ人大富豪に学ぶ お金持ちの習慣』『貧困OLから資産6億をつかんだ金持ち母さんの方法』『お金の不安から自由になって幸せな女になる』がある。