金融庁「人生100年時代に2千万円不足。資産運用が必要」

金融庁のレポート「人生100年時代に2000万円不足」

2019年6月4日の日本経済新聞に金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」について書かれていました。

金融庁は3日、人生100年時代を見据えた資産形成を促す報告書をまとめた。長寿化によって会社を定年退職した後の人生が延びるため、95歳まで生きるには夫婦で約2千万円の金融資産の取り崩しが必要になるとの試算を示した。公的年金制度に頼った生活設計だけでは資金不足に陥る可能性に触れ、長期・分散型の資産運用の重要性を強調した。

ご存知のように、日本では人口減少と「人生100年時代」と言われる高齢化が進んでいます。個人に要請されていることは「人生100年時代」に備えた資産形成や管理に取り組むことだと書かれています。

以下、金融庁の報告書をかいつまんで説明します。

【現状】

平均寿命は男性が約81歳で女性が約87歳ですが、医療技術の進展により更なる長寿化が見込まれています。現在60歳の人の約4分の1が95歳まで生きるという試算もあります。賃金は、バブル崩壊以降「失われた20年」の間、伸び悩んでいて、各世代の収入は全体的に低下傾向。収入が低下傾向なのに、税金や保険料は年々増加しています。

2016年には65歳から69歳の男性の55%、女性の34%が働いていて、これらの比率は世界でも格段に高い水準です。

若年層を中心に働き方は多様化していて、副業を持つなど個人が複数の仕事を持ったり、フリーランスという働き方も増えています。

ひとつの企業に留まらない働き方は退職金から見ると不利なこともあります。退職金給付額自体も近年減少してきています。

若年層よりもシニア層の方が全体に占める金融資産の保有割合が高くなっています。

65歳時点における金融資産の平均保有状況

夫婦世帯 2,252万円

単身男性 1,552万円

単身女性 1,506万円

* 「2千万円の不足」の根拠は?

高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円で、自分の金融資産から補填している、ということです。今後20年生きるとすると約1300万円、30年で約2000万円の金融資産の取り崩しが必要ということです。

多くの人たちは老後の不安の主要要因に「お金」を挙げていて、資産寿命を延ばすために必要なことを尋ねた調査によれば「現役で働く期間を延ばす」「生活費の節約」という回答が多いが、約3割の人が「若いうちから少しずつ資産形成に取り組む」と回答しています。

【考えられる対応】

現役期
長寿化に対応し、長期・積立・分散投資など、少額からでも資産形成の行動を起こす時期であり、例えば、以下のような対応が有効と考えられる。

「人生 100 年時代」においてこれまでよりも長く生きる人が多いことを前提に、老後の生活も満足できるものとなるよう、早い時期からの資産形成の有効性を認識する。
生活資金やいざというときに備えた資金については元本の保証されている預貯金等により確保しつつ、将来に向けて少額からでも長期・積立・分散投資による資産形成を行う。
自らにふさわしいライフプラン・マネープランを検討する(必要に応じ、信頼できるアドバイザー等を見つけて相談する)。
金融サービス提供者が顧客側の利益を重視しているかという観点から、長期的に取引できる提供者を選ぶ。

 

リタイヤ期前後
リタイヤ期以降の人生も長期化していることに対応し、金融資産の目減りの抑制や計画的な資産の取崩しに向けて行動する時期である。人によって、退職金などの多額のお金が入ったり、働き方に変化が生じることが想定されるため、これらを受けた対応が必要と考えられる。

退職金がある場合、早期の情報収集と使途の検討及び退職金を踏まえたライフプラン・マネープランを再検討する。
必要に応じ、収支の改善策を実行する。
長い人生を見据えた、中長期的な資産運用の継続(長期・積立・分散投資等)とその後の計画的な取崩しを実行する。

 

高齢期
資産の計画的な取崩しを実行するとともに、認知・判断能力の低下や喪失に備えて行動する時期であり、心身の衰えに関わらず金融サービスを引き続き享受するために、事前の準備や対応が必要と考えられる。

心身の衰えを見据えてマネープランを見直す(医療費、老人ホーム入居費等)。
認知・判断能力の低下や喪失に備え、取引関係の簡素化など心身の衰えに応じた対応をしやすくする。また、金融面の本人意思を明確にしておき、自ら行動できなくなったとしても、他者のサポートにより、これまでと同様の金融サービスを利用しやすくしておく。

以上、要約しました。

「人生100年時代」というのは、LIFE SHIFT(ライフ・シフト)というベストセラー本での提言がもとになっています。参考になることがたくさん書かれている良書だと思います! ぜひ読んでみてください。

さて現役期は、「長期・積立・分散投資など、少額からでも資産形成の行動を起こす時期」とのことですが、資産形成を始めるのは若ければ若いほどいいと思います。資産を複利で増やしたりするのは時間をかければかけるほど大きくなりますし、ハイリターンを狙うようなハイリスクの投資で失敗したとしても、一部の余裕資金ですれば、リカバリーが可能です。もちろん若いときは自分に投資するのが一番良いので、旅行したり、なにかを学んだりするためにお金を使うのも大切ですが、小額でいいので投資を含めて資産形成をするといいかと思います。

このレポートは金融庁のもので金融関係の研究について書かれているのですが、『LIFE SHIFT』に書かれているように、有形資産だけでなく無形資産を意識して構築することや、働き方を変化させることも必要になってきます。無形資産には、生産性資産(スキルや知識など)、活力資産(肉体的・精神的な健康と幸福など)、変身資産(自分自身についてよく知っていること、多様性に富んだ人的ネットワークを持っていること、新しい経験に対して開かれた姿勢を持っていることなど)があります。

長く生きるとなると「一つの会社でずっと働いて退職。退職後は退職金と年金で暮らす」という今までの働き方も変化するので、学び直して次のキャリアを考える必要があります。日本では「働き方改革」をしていて、会社員は副業もし、高齢者や今まで働いていなかった女性も短時間でも働く、という方向に進んでいるかと思います。「稼ぎ力」も必要です。

資産運用ですが、よくわからないと言って、金融機関の窓口の人や、FP(Financial Planner)やIFA(Independent Financial Adviser独立系金融アドバイザー)などのアドバイスを聞くのは危険です。彼らは金融商品販売をしていますが、勧められるままに金融商品を購入して損をしている人たちが少なくありません。20万円程度の手取りのお給料なのにFPのアドバイスに従って毎月8万円も保険の支払に充てている人がいました。支払いに苦しんでいたのですが、その保険を勧めたFPは、欲に目がくらんで手数料欲しさに高額な保険を勧めたのではないでしょうか。

自分が投資で成功していたら、金融商品の販売でお金を稼ぐ必要がないのですから、例外はあるにしても、金融商品を販売している人たちは投資で成功していない可能性が高いです。

資産運用は私自身もすごく悩んだりしていますが、自分の頭を使って、小額から経験を重ねていくしかないと思います。もちろんアドバイザーの話を参考程度に聞くのはよいかと思いますが、最終的にリスクを取るのは自分なのでよく考えてください。

私が大切だと思うことは次のようなことです。

・時代にあった稼ぎ力を常に高める

・投資は小額から経験を重ねてうまくなっていく

・無形資産も育てていく

「老後の資金が不足している」と言われると心配になるかと思いますが、私はそれほど心配しなくていいかと思います。エコシステムが柔軟になっていますし、個人がスキルや特技を簡単に提供できるテクノロジーが発展しているので、楽しみながらお金を稼ぐことも可能になってきています。お金については正しい知識に基づいて行動すれば、お金に困ることはないかと思います。

ABOUTこの記事をかいた人

著者。特許翻訳者。ユダヤ人富豪の義父に学び、自らも7億円の不動産資産を築いた不動産投資家という顔も持つ。 東京都出身。外資系メーカー、シティバンク勤務を経て、イスラエル国籍のユダヤ人と結婚。子ども二人に恵まれるも離婚。在宅で翻訳の仕事をフリーランスとしてしながら、シングルマザーとして子ども達を育てた。東欧からの移民の子で、14歳から働き、資産ゼロから財産を築いたユダヤ人の義父からは不動産投資を学び、投資物件(7億円)などの資産を築いた。著書に『ユダヤ人と結婚して20年後にわかった金銀銅の法則50』『ユダヤ人大富豪に学ぶ お金持ちの習慣』『貧困OLから資産6億をつかんだ金持ち母さんの方法』『お金の不安から自由になって幸せな女になる』がある。オンラインサロン「マネサロ」主宰 http://yymsalon.jp/wp/