【興味のある人】台湾のIT担当閣僚オードリー・タン氏

こんにちは! 星野陽子です(自己紹介)。

台湾のIT担当閣僚(Digital minister)、オードリー・タン(Audrey Tang 唐鳳)氏が脚光を浴びたのは、彼女がプログラマーたちと協力して3日で作ったマスクマップによってでした。新型コロナウィルス感染のニュースで人々がマスクを求めたのですが、世界中でマスクの在庫不足で混乱が起こりました。台湾では購入が実名制で一人3枚までと規制され、マスクの在庫を示すマスクマップなるものが提供されたので、台湾の人たちはマスクを手に入れることができ、感染も拡大しなかったのでした。

ITを使ってそんなに素早く対策が取れるなんて、すごい!と思い、タン氏に興味を持って本を読んだり動画を見たりして、自分の記録用にまとめてみました。

オードリー・タン氏の生まれや性別や育ち

以下、主に『Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔』という本とズームバック×オチアイ特別編をもとに書きます。

1981年4月18日生まれ。
男性として生まれるが、思春期に女性だと自認したトランスジェンダー。

小学生に入るときには連立方程式を解いていたというほどの「天才」だったので、教師や学校はどう扱っていいのかわからなかったようです。幼いタン氏は居場所を見つけることができず、不登校となったこともありました。

コンピューターのプログラミングを独学で8才のときに始めました。

家族もこの「天才」をどう扱っていいのかわからないようでした。父親はドイツへの留学を決めて離れます。父親のいるドイツで家族は過ごすこともあったのですが、タン氏は台湾に帰ることを希望。その後、台北の中学は登校しなくてもよいという特別許可を与えたので、大学の講義に出席したりしました。

プログラミングに夢中になるうちに、ホワイトハッカーたちと出会い、ハッカソン(ソフトウェア関連プロジェクトのイベント)に参加したりしました。15才で開発した検索ソフトは1か月で1万本売れました。ついたあだ名は電脳神童。

オードリー・タン氏のキャリア

19歳でアメリカに渡りアップルでSiriの開発に関わりました。

33歳でビジネスから引退を宣言しました。

この頃、「ひまわり学生運動」(2014年3月18日に、中華民国(台湾)の学生と市民らが、立法院(日本の国会議事堂にあたる)を占拠した学生運動から始まった社会運動)が起こりました。学生たちが立法院に突入し24日間占拠したのですが、現場の中継が続けられるようネットワークの帯域を増やすなど動いたのがタンらシビックハッカーのグループ「g0v(ゼロガバメント=零時政府)」でした。

最終的に与党は審議のやり直しを受け入れ、若者たちは「政治は変えられる」と実感したのでした。

台湾にはリバースメンバーシップ制度があって、大臣には35歳以下のメンターが二人付くそうですが、タン氏はある大臣のメンターとなっていました。これは良い制度ですね! 現役の政治家が若くて有能な人を引き上げやすくなります。

2016年、35歳のとき、IT担当閣僚に就任しました。そして2020年、新型コロナウィルス感染で混乱が始まったときにマスクマップを速やかに作ったので、感染予防が速やかにされました。

オードリー・タン氏の語録

『Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔』からの語録です。

「大勢の人のために行うことは、大勢の人の助けを借りる。これが子どもの頃から一貫して行ってきたことです。」P138

Q 子ども時代の家庭教育で、人生に最も大きな影響があったのはどんなことでしょう。
「父からは、どんな権威も信じないように教わりました。母からは、個人的な感じ方でも、文字にすれば他人との共通の感情が生まれるという意義があることを教わりました。」P200

「科学的な研究によると、新しい習慣を1つ作るには一般的に約2か月かかります。難しいように思えても、決心して実行すれば、1年で6つの新しい習慣を作ることができます。」P203

「ネットコミュニティで誰もが認めるリーダーとは、最も賢い人ではなく、最もコミュニティに対して貢献する人です」P219

「ネットの内容をダウンロードするだけの人になるのではなく、自分の作品をアップロードして、ネットへの貢献者になろう!」P219

オードリー・タン氏の時間術

タン氏は「ポモドーロ・テクニック」を時間管理に使っています。 生産性や効率性を上げるために25分仕事に専念し5分休むのを繰り返す方法で、この方法を見つけたイタリア人がトマト(ポモドーロ)形のタイマーで25分設定したところからこう呼ばれているそうです。

 

オードリー・タン氏の読書術と睡眠

タン氏は95%をiPad Proで読み、デジタルペンを使ってメモを取ったり絵を書いたりします。

「もし明日の会議のために400ページの資料を読む必要があるとすると、就寝前に400ページすべてをめくってから眠る。すると朝起きた時には読み終わっているのだ。睡眠時間を利用して大量の資料を理解できるのだから、非常に省エネだ。」

毎日必ず8時間睡眠を取るが、そうしないと短期の記憶が長期の記憶にならないと考えているようです。

オードリー・タン氏の「透明性」

タン氏は自分のスケジュール、インタビュー記録、会議記録もすべてオンラインで公開し、「完全な透明性」を実現しています。どんなメディアの取材にもカメラマンの撮影にも一切制限を設けないのですが、内容を公開することが条件だそうです。肖像権も著作権も放棄し、すべてのインタビュー内容と写真を無料の公共資産としています。

仕事の日誌はアップロードされています。
https://sayit.pdis.nat.gov.tw/speaker/audrey-tang-2

Twitter: https://twitter.com/audreyt

音声でのご紹介

追記 2021/05/03

『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』を読みました。
ブログ記事

無料のメルマガ(月に1、2度発行予定)に登録してくださると嬉しいです!
→ 星野陽子ニュースレター

ABOUTこの記事をかいた人

著者。特許翻訳者。ユダヤ人富豪の義父に学び、自らも7億円の不動産資産を築いた不動産投資家という顔も持つ。 東京都出身。外資系メーカー、シティバンク勤務を経て、イスラエル国籍のユダヤ人と結婚。子ども二人に恵まれるも離婚。在宅で翻訳の仕事をフリーランスとしてしながら、シングルマザーとして子ども達を育てた。東欧からの移民の子で、14歳から働き、資産ゼロから財産を築いたユダヤ人の義父からは不動産投資を学び、投資物件(7億円)などの資産を築いた。著書に『ユダヤ人と結婚して20年後にわかった金銀銅の法則50』『ユダヤ人大富豪に学ぶ お金持ちの習慣』『貧困OLから資産6億をつかんだ金持ち母さんの方法』『お金の不安から自由になって幸せな女になる』がある。