こんにちは! 星野陽子です(自己紹介)。
フリーの在宅翻訳者になってから20年以上経ちます。
通訳と翻訳の違い
私が翻訳者だというと、「通訳もできるよね?」と言われることがあります。語学を扱うのは同じですが、通訳と翻訳は別物。
まず翻訳と通訳の違いを、簡単に説明しますね。
翻訳(translation):文書を訳す
(ある言語で表現された文章の内容を、原文に即して他の言語に移しかえること)
通訳(interpretation):話し言葉を訳す
(種類の異なる言語を話す人々の間に立ち、それぞれの言葉を訳して双方に伝えること)
通訳者になるには
英語力以前に、通訳者や翻訳者に向いているか考えるのが大切かと思います。実力があるのに、「締め切りのプレッシャーに耐えられない!」と言って、翻訳の仕事を辞めた人を知っています。
私は通訳をやったことがないのですが、知り合いの通訳者から聞いたところ、集中力や体調管理が必要、とのこと。
人とのコミュニケーションが好きで、身だしなみやマナーに気をつけられる人が向いているかと思います。
今はZOOMでできるのかもしれませんが、通常は、社内通訳であれば会社に行き、フリーランスであれば、国内外の出張があるので、小さな子どもがいたり、介護をしていたりして、他の人の協力が得られない場合はむずかしいかもしれません。
『同時通訳者のここだけの話』によれば
・翻訳と通訳の両方を高いレベルでできる人はあまり多くない
・翻訳には締め切りがあるが、基本的には自分のペースで進めることが許されているので、表現に納得がいかない場合はじっくりと調べたり考えたりできる
・通訳は常に時間との勝負
・自分のペースで休憩することは許されないので、体力・精神力を著しく消耗する
翻訳者になるには
翻訳者に向いているのは、どんなに難解なものがきても締め切りまでに納品するという、ある意味プレッシャーに強い人、ひとりコツコツと仕事できる人かと思います。
私が翻訳の仕事を始めたのは、当時は子どもたちが乳児と幼児で、私はシングルマザーであるので、在宅での仕事を望んでいたからでした。
もっとも帰国子女でもなく、海外留学や海外長期滞在の経験もないので、ヒアリングとスピーキングが苦手で、通訳は無理なのです……。
通訳には、会議通訳、同時通訳、観光案内通訳、法廷通訳などがあり、翻訳も産業翻訳、文芸翻訳など様々なものがあります。
ご興味のある方は『通訳者・翻訳者になる本』を手に取ってみてはいかがでしょうか。
通訳者と翻訳者の共通点
変人が多い。
よく言われます(笑)。
言葉にこだわりを持つところに、話していて「ちょっと変わっている」「偏屈だな」と思われるのかもしれません。翻訳者では、英文法などの知識で競争をするような人もいます。私はそういう人には最初から相手にされていないのでいいのですが、ライバル視している人に対して執拗に噛みついていた人を見たことがあります。
また英語に関して言えば、英語のネイティブスピーカーは自分の意見をきちんと言う人が多いため、通訳者や翻訳者はそういう人たちに影響を受けていて、意見を言う人が多いと言う印象があります。あまり自分の意見をストレートに言わない日本人から見ると「変わっている」のかもしれません。
ことばが好きという共通点はあると思います。ある言語のことばを違う言語のことばに変換しますが、全く同じ意味でないことばも多々あります。そんなときに「ぴったりくる!」ということばを見つけた時には、達成感があり、嬉しくてたまりません。
また通訳者も翻訳者も勉強熱心で、常に知識のアップデートをしている印象があります。
通訳と翻訳の将来の需要
翻訳はAIに取って代わられる仕事だと、私は思っています。それは翻訳支援ソフト、翻訳メモリーなどが出てきた時から感じていたので、他の収入の柱として不動産賃貸業(大家業)を始めました。
今後は機械翻訳をチェックするような人やそれをレビューする人が仕事をするのではないでしょうか。実力がある人ができるような仕事かと思います。
通訳も簡単なものや、大体の意味がわかればいいというものであれば、すでにGoogle翻訳や音声ソフトを使っている人が多いかと思います。
国際会議など大きな会議や、会社の需要な会議などの通訳、要人に付く通訳や、政治家の発言など重要な場面の通訳はなくならないかと思います。そして収入も悪くないのではないでしょうか。現地の人に案内してもらいたいなどのニーズでの通訳は、それほど稼げないかもしれませんが、そこそこあるのではないでしょうか。